日本のある林業試験場では1971年度中に実験装置をつくることになりました。
床面積3・3平方メートルほどの大きさですが、これだけの部屋の空気を完全に浄化するのは簡単ではありません。
研究者は、コケを使う実験装置ならば、ごく小さくできるのではないかと考えてはいたものの、日本ではどのような結果が出るものか予想ができない状態であったため、実験には踏み切れなかったそうです。
ちょうど、そのとき、この実験を企画した造林研究室の技官が、手づくりの装置で予備試験をはじめたそうです。
それは、一辺約30センチの小さなビニール張りの部屋をつくって、20ワットのエアポンプ2台で送風するという装置です。
そして、中に入れる試験材料には鉢植えにしたアカマツの幼苗が選ばれました。
このことを聞いて、コケをいっしょに実験してもらうことにしたのだそうです。
コケは4種類選んで、プラスチックの丸いケースに敷いた脱脂綿に植え、それを浄化試験装置の中に入れてもらいました。
結果は予想以上のものでした。
浄化していないほうの部屋に入れたコケの一部は数日で変色がはじまり、10日後見たときには、完全に枯れていたのです。
活性炭で浄化した空気を通じた部屋に置いたものは、なんの被害も受けず生き生きしていました。