今日は、生活史から見た日本における初期資本主義のおおまかな特徴について述べていきます。
第1の特徴は、資本主義的主体形成の遅延性と、他方、出稼ぎ労働をはじめとした低賃金構造の形成です。
両者は表裏一体をなして資本主義的生産を推進するのですが、この状況こそ、後の低賃金構造の源泉となったのです。
第2の特徴は、急速な製糸・紡績業の発展に伴って、特に水呑み等窮乏農民の娘たちの労働力が農村内部から直接濫奪されていったことです。
これは、原生的労働関係を形成し、資本の横暴な過程を出現させる原因となりました。
第3の特徴としては、農村生活の破綻から、一家をあげて、あるいは一家離散して都市下層社会に沈殿した農民が、マッチ等の工場の出現によって賃労働者に転化します。
しかし、これもまた後年の日本低賃金構造の形成要因となりました。
・・・というのは、当時都市下層民の生活水準と窮乏化した下層農民のそれとがほぼ均衡していたため、いかに低賃金であれ・・・
都市下層民にとって工場から得られる賃銭は現実の生活をわずかでも向上させるための重要な収入源であったから、いきおい低賃金を温存させてしまったのです。