「利益の均衡」によって国際秩序の安定と維持をはかるといっても・・・
具体的な国際問題あるいは関係を処理する上で、どれほど意味がある指針を与えるのかという問題に突き当たらざるを得ないと思います。
ただし私自身は、この「利益の均衡」という考え方はともかく、ゴルバチョフが国際関係のあり方を構想する上での依りどころとでもいうべき考え方を模索しようとしたことまでを、荒唐無稽なものとして簡単に退けることにはためらいを覚えます。
私自身がソ連側の文献で確かめることができたというわけではありません。
しかし、この考え方はおそらく、「勢力の均衡」(バランス・オブ・パワー)という伝統的概念にヒントを得つつ、しかし、勢力均衡という伝統的考え方で今後の国際関係を引き続き規律していくことに対して、ゴルバチョフなりの批判を込めていたのではないかと考えるのです。
勢力均衡という考え方は、欧米の国際政治についての理解・認識を代表する太い流れです。
現実の国際政治を動かす米欧諸国の支配的考え方でもあります。
・・・・その一つの典型的な、そして現代的な現れを、私たちは先にアメリカのブッシュ政権の新世界秩序構想の中にみたわけです。